映画『シェイプ・オブ・ウォーター』レビュー

予告動画

キャスト

・サリー・ホーキンス
・マイケル・シャノン
・リチャード・ジェンキンス
・ダグ・ジョーンズ
・マイケル・スタールバーグ
・オクタヴィア・スペンサー

あらすじ

1962年、ソビエトとの冷戦時代のアメリカ。清掃員として政府の極秘研究所に勤めるイライザ(サリー・ホーキンス)は、同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)と一緒に極秘の実験を見てしまう。研究所に秘かに運び込まれた、アマゾンで神のように崇められていたという不思議な生きものの魅惑的な姿に心を奪われたイライザは、周囲の目を盗んで会いに行くようになる。イライザは子供の頃のトラウマで声が出せなかったが、“彼” とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。二人の心は通い始めるが、イライザは“彼”が間もなく実験の犠牲になることを知る……。(dTVホームページより)

感想

今でこそ、映画「パシフィック・リム」やドラマ「ストレイン」で有名のギレルモ・デル・トロ監督だが個人的には過去作の「ブレイド2」や「パンズラビリンス」が好きな自分にとっては久しぶりに心の芯から揺さぶってくる映画でした。

日本国内で人気のパシフィックリム続編を蹴ってでも制作したかった本作「シェイプ・オブ・ウォーター」は現代に蘇った真のラブロマンス映画だと思いました。

言葉が発せられない主人公のイライザが居る境遇と、半魚人との境遇が重なり次第にそれぞれ交友していくほほえましいシーンが何といっても現在のハリウッド映画では欠けていた要素だと思いました。

よくネット上では、「美女と野獣」的な映画だというレビューなどが存在しますが、それはハッキリ言って真逆な指摘だと思いました。

そもそも、言葉を発せられない主人公が恋に落ちた相手も、声が発せられない半魚人からということ自体も、過去の色んな創作物の異種間恋愛物に対するアンチテーゼな時点でギレルモ監督の計算高い映画製作が垣間見れます。

本作自体は恋愛映画に入るジャンルだと思いますが、個人的にはギレルモ監督の過去作の「ヘルボーイ」からのデザインを継承して作られていたり、スプラッター要素なども一部入ってくるので、ご家族での視聴はちょっと遠慮し一人で雨の降っている日などに部屋を暗くして見たほうがいいと思います。

現に、自分が初見で映画館で見たときには小さい娘さんと見に来ていた親子客などもいましたが、映画冒頭からアレなシーンなのはギレルモ監督による「これは俺の自己満足映画だ!」とでも語りつけてくるようなシーンがあるので驚きました。

また、この映画自体少し今のマイノリティー社会を少し皮肉っているのが個人的に大きい特徴でもありました。

過去の60年代のアメリカを舞台にしつつも今でも問題視されている、人種問題や黒人差別、ジェンダー問題、ブルーカラー層の労働問題、軍上層部による機密保持問題(ソ連との核開発など)は大きく映画上でも取り扱っていないもののわざわざ印象的に残るシーンをさらっと必ず見せつけてくるのは、デルトロ監督にしてはめずらしい作風でした。

本作自体も映画祭で多くの賞をもらいましたが、今の日本のしょうもない邦画の恋愛映画を見るよりは絶対に見たほうが良い本作は近年の恋愛映画自体に対する挑戦的な映画なのでぜひとも多くの人々に見てもらいたいと思いました。

しかし、それにしてもデルトロ監督は自分の作りたい映画だけを作って力にしているので相変わらず尊敬できる監督のうちの一人だなぁと思いました。

レビュー

Posted by hiro